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AIによる人の脳の再現は不可能に近い

コンピューターは価値判断などに必要な抽象的な概念が扱えない

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The-reproduction-of-the-brain-of-the-person-by-the-AI-is-almost-impossible, 2017/4/10, 2017/4/12, 評価(C)
ディープラーニングも自動学習するコンピューターということでAIと呼んでもよいのですが、それぞれの動作を行う実用的な技術とはまた別に、純粋に人の脳や精神活動をコンピューターで再現する、脳シミュレーターのようなAI理論も盛んに研究が行われています。

ビッグデータとディープラーニングにより純粋な人工知能の研究にも期待がかかっています。しかし、以前からあるコンピューターと人の知性との間にある壁は、依然として非常に高いもので、ビッグデータやディープラーニングなどはその壁を越えるために、特に役に立つようなものではありません。

近頃の研究では脳が人の精神活動のすべてを支配しているという前提はすでに崩されてしまっていますので、ここから先では精神活動と呼ぶことにします。この精神活動による思考や判断には、過去の記憶や現在の五感や内臓感覚だけでなく、音楽を聴くときのような前後関係から形作られるメロディー、定義があってないような愛や正義などあいまいな概念、種類を分類する能力、共通点や類似点を見つけ出す能力、また錯覚や予想能力、さらには無意識化の思考・判断など実に多くの複合的な条件があります。

理論上はそれらをすべて分析しコンピューターで処理できるかたちで再現し、同時に並列処理しながら、それぞれの判断に優先度(重み)をつけ、さらにその優先度まで自己学習で最適な状態に調節していければ、一応は人の精神活動の完全な再現ができるのではないかと考えられています。

しかし、これらの精神活動をAIとしてコンピューターで再現するのは、最新科学理論をもってしても、依然として不可能な状況にあります。考慮しないといけない条件が多すぎるうえに、それらの重みを判断したり、結果をフィードバックするのも困難を極めるでしょう。そもそもフィードバックすべき正解やよりよい判断というのを定義しないことには、コンピューターには結果を反映させることすらできないでしょう。

そもそもコンピューターで扱えるものはデータのみですから、どんなものでも計算が可能な数値や、比較が可能な記号へと置き換えることができなければ、扱うこと自体ができません。コンピューターが愛や正義を扱う場合は、ビッグデータを元によく使われている説明を表示させるような処理はできても、その内容がどんな意味なのか説明したり理解することはできないのです。AI内蔵ロボットが答える愛や正義などの答えは、単に頻出データとしてメモリー内部に保存されているものを読み込んで文字や音声で出力しているだけにすぎません。

人にとって重要な愛や善悪などの抽象的な概念を処理できない以上、AIで人の精神活動を再現しようとすることは現実的ではありません。この程度のことであれば、おそらく研究者も理解しているでしょうから、実際には科学の発達とともに、AIの単体での研究を進めるというよりも、コンピューターや機械の得意分野を人の活動に活かす、アンドロイド型の研究に重点が置かれることになるでしょう。

たとえばすでに実現しているテレパシー技術とインターネットを組み合わせれば、イメージした言葉をネット検索し、結果をテレパシー通信の音声イメージで返答したり、ヘッドマウントディスプレイや、あるいは網膜に直接的にパソコンモニター映像のような結果を映し出すようなことができます。携帯電話やスマートフォンなどは持ち歩いて使うものですが、歴史的として考えれば、人の身体機能を拡張するという意味でアンドロイド化の先駆けと言ってもよいかもしれません。

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