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攻撃があたりにくいという誤解をさける改善策

確率の錯覚に合わせた確率調整案

berwicksaga_record_of_the_war_Misunderstanding_of_luck, 2016/12/14

ベルウィックサーがの確率計算は数学的にはまったく正しいものだと思います。各命中率での攻撃の成否を実際に数えていくと、ほぼ確率通りに平均化されていきます。実際に確かめれば、本作の確率計算は正しいと言わざるをえません。

それではなぜ確率への不満が沸き起こってしまうのかというと、それは私たちが一般的に抱いている確率への誤解や錯覚が原因となっていると予想されます。

私たちは、天気予報などで確率を見ると、その数値通りの期待値ではなく、無意識のうちに修正した期待値をイメージしてしまう習性があります。

確率80%くらいから99%では、ほぼ100%だと判断し、1%から19%くらいでは、ほぼ0%として判断してしまう傾向があるのです。

この確率の錯覚というべき人間の習性は、100%、50%、0%では起こりません。100%や0%はそもそも確率というよりも事実や法則のようなものですから、確率という概念からすると例外にあたります。

私たちは「100%確実」という言い方をしてしまうことがありますが、これは同じことを繰り返していますので、頭痛が痛いと言ってしまうのと同じで、間違った言葉遣いにあたります。

また、50%も結果に対してはどちらになるか完全に分からないという状態ですので、結果がどうなろうと私たちは疑問を抱きません。それでは50%という確率に意味はないのかというと、そんなことはなく、どちらが起こる可能性もまったく同じである、ということを表すことができます。

確率への錯覚には、さらに人は誰でも自分に都合のよい考え方をするという習性が加わることでエスカレートしていきます。人は自分にとって都合のよいこと、うまくいったほうがよいことには、確率を実際よりも高く上方修正する傾向があります。逆に都合の割ることには、確率を下方修正する傾向があるのです。これらが錯覚を強化してしまいます。

ゲームでは自分の攻撃などでは確率を上方修正するという誤解をし、防御などでは相手の攻撃確率を下方修正して理解しているのです。

このような確率への錯覚は、私たちの誰もが持っているくせのようなものですから、確率への錯覚自体を修正するのは難しいことです。人の持つ修正は、分かっていてもなかなか変えることができません。

それではあきらめるしかないのかというと、そうでもありません。

芸術家は彫刻や建物を作る際に、遠近法を取り入れて、それを見る位置によって見え方を強調するように作ることがあります。大きさや角度を変えることで、距離感を演出するような方法をとります。

たとえば、ミケランジェロのダビデ像なども、台座の上に乗せる予定で、下から見上げることを前提にして作られたので、実際よりも頭を大きくするといった工夫がなされています。実際のダビデ像は、上や真横から見ると頭が大きく、人の体としてはバランスの悪い作りになっているのです。

この遠近法を逆手に取ったような芸術手法と同じように、確率の錯覚も、この錯覚があることを前提とした調整を行うことができます。

これをゲームに取り入れる場合は、プレーヤーにとってよいことが起こる確率は、実際の数値よりの低く表示する、あるいは内部で見えないように下方修正するのがよいでしょう。逆にプレーヤーにとって都合の悪いことが起こる確率は、同じように実際よりも高く見せるのがよいでしょう。

たとえばプレーヤーに都合がよいことが起こる確率は、内部で10%上げた確率計算を行い、逆の場合は10%下げた計算を行うといった具合です。91%以上の確率ではすべて100%になってしましますが、限界値付近などはまた別の調整を行ったほうがよいでしょう。

このようなことを理解してバランス調整を行えば、よりストレスの少ない、プレーヤーにとって納得しやすいバランスを実現することができるはずです。

< 参考 >

「錯覚の科学 数字」検索結果 2016/12/14

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