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シナリオに想う

ドラマティックなのは戦闘だけではない

berwicksaga_record_of_the_war_scenario, 2017/2/5, 2017/3/10



目次

波乱の展開

黒リースの件

リースの血筋

ついに完結、英雄決戦の行方は

波乱の展開

オープニングデモで、リースが後に英雄と呼ばれたかは定かではない、などと語られているように、ベルウィックはシナリオもドラマチックな展開となっています。予定調和よりもリアリティを重視する方向性があり、プレーヤーの心にザラリとした記憶を残す、予想を裏切るような展開が忘れた頃にやってきたります。

ずっと暗い話が続くということではなく、明るい話もありますが、全体としては、戦争における人が死ぬという事実と人のさがが織り込まれた物語になっています。単純に、誰も死なずにクリアできた、よかった、とはならない微妙な部分があります。2017/2/5

黒リースの件

実況動画で見かけましたが、黒リースという言葉があります。黒というのは形容詞として扱われ、性格が悪いことやずる賢いこと、過去に人にいえない不幸な経験があることなどを表します。

ベルウィックサーガの主人公であるリースの発言を、若い人が見れば、正義を知的に主張する英雄と映るのかもしれません。しかし、ある程度大人になった人が見ると、単純な正義のヒーローには見えないでしょう。

私がずっと気になっていたのは、リースが優等生過ぎる点です。私も若い頃は、正しいことをちゃんと伝えれば誰もがわかってくれるものだと思っていましたが、大人になってみると善悪というものは理論の正しさよりも、地位や権力などの現実的な実力関係で決まってくるものだと、人並みに理解するようになりました。

正義感あふれる若者ではありますが、16歳の田舎育ちの貴族の息子であるリースのことを考えると、常に正論を主張してしまうのは、美点ではあります。しかし、その無謀なストレートさが、若干鼻についてしまうのは私だけではないのではないかと思います。

リースももう少し都会の社交場でコミュニケーションスキルを磨いていれば、銀河英雄伝説のラインハルトのように、正論や理想論を理解しつつも、暗愚な上司の顔を立て、謙虚な姿勢で、出すぎた発言を控えるようなマナーを身に付けていたことでしょう。

リースに貴族の社交界マナーを求めるのは、田舎育ちという設定上、おかしな話ではあります。しかし、リースの発言をよく注意してみてみると、彼は社交界のマナーを理解したうえで、あえて田舎騎士のふりをして、正論を主張しているようにとれる部分もあります。このあたりは、意図的なものか、偶然の産物か、今の段階(12章)では判断しきれないところです。

リースが黒リースとして、黒さを発揮するのは、なんと言っても、ラレンティア釈放イベントでの、看守の逮捕劇の場面です。これはリースが活躍を認めらハイロードに昇格するめでたい場面で、褒美としてラレンティアの釈放を願い出るという、一見すると美しい場面です。

ラレンティアは釈放されるまでの間は、看守にワイロを渡すことで、傭兵のように一時的にシノン軍に加わっていました。この時点でリース及びシノン軍側にも、ワイロを送ったという贈賄罪に相当する罪が発生しています。ラレンティアの投獄自体が王国上層部の命令ですから、同時に命令違反、軍規違反などの状態でもあるはずです。

リースはこの状態からラレンティアの釈放を願い出て、めでたくラレンティアをシノン軍に正式加入させることに成功します。唯一の飛兵であるドラゴンナイトのラレンティアは特別な存在であり、その活躍や将来性を考えると、かなりの名采配であったことはたしかなことです。

ここまでが表のよい部分です。問題はその後で、リースはワイロを渡していた看守をワイロを受け取った収賄罪にあたる罪で逮捕させてしまいます。現代の法制では、ワイロはおくった側ももらった側も罰せられるようになっていますが、常識的に考えても、ワイロが悪いことであれば、おくった側ももらった側も両方悪いことをした、ということになるでしょう。

ワイロを受け取った看守だけを逮捕してしまうことは、リースが自分自身がワイロをおくったことを隠し、証拠を隠蔽しようとしたようにも見えてしまいます。逮捕された看守は取調べを受けた際に、こう主張したはずです。リース公子の了解をえて、ワイロを受け取りラレンティアを一時的に脱獄させていたのだと。しかし、取調べ官は、民からも評判の高いリース公子がそんなことをするはずはない、お前が一方的にワイロを要求し、リース公子はしかたなく支払ったのだろうと判断して、そのような証言書類など作成したことでしょう。

看守が暗にワイロを要求したのは事実ですが、リースも多少はためらったかもしれませんが、お金を渡しています。これが一方的な要求だったか、両者合意のもとでの取引だったかは微妙なところです。口約束は水掛け論という言い方があります。これは証拠のない過去の発言を証拠とすると、お互いに、「言った言わない」でもめてしまい収集がつかなくなる状態を表しています。現代の裁判であれば、弁護士の腕のよいほうが勝つような、どちらに転ぶかわからないような状態となるのではないでしょうか。

この看守を結果的に見捨てたリースの行動は、たしかに黒リースと呼ぶべきずるさが隠れています。

(ちなみに現代の政治家、たとえば安倍首相のような、映像や文書で証拠が残っているのに、前に言ったとか言っていないとか、すぐに主張をくつがえしてしまうのは、まさに愚の骨頂です。バレている嘘をつき続けても人をだますことはできません。彼が自分の言動の矛盾をどう理解しているのか、彼がどういう論理学の世界に生きているのか、常識的な人間にはとうてい理解できるものではありません。彼と会議などをした海外のリーダーなども簡単に主張をくつがえす彼の姿に大きな疑問を投げかけています。外交というのは簡単にいうと、ルールや約束について話し合うのですが、安倍首相の場合は、約束を守る守らないというレベルではなく、主張そのものがまったく変わってしまうようなことがよくあるのです。これには今でも海外のリーダーたちは困らされています。少し長くなってしまいましたが、政治や外交の話は関係ないので、このあたりにしておきます。)

リースが黒い性格の主人公というのが製作者側の意図した設定としてある場合、物語のどこか、おそらく最後に近い場面で、再び黒リースが表れるはずです。その場面を予想すると、今の時点で、帝国の名称ゼフロスがヴェリア王の子供であったことがわかっていますので、ウォルケンス国王を排除して、ゼフロスやベルナードなどを立て、ラーズとヴェリアの統一王国を建国するような可能性もあります。

これは普通の話の流れですが、これが実現するまでの間に、黒リースが現れ、暗愚なウォルケンス王かその配下の要人を逮捕、もしくは暗殺してしまうような展開も考えられます。

今後の展開がどうなるかはわかりませんが、ベルウィックサーガは敵軍をすべて倒してハッピーエンドとなるような予定調和型のシナリオにはなっていないはずです。おそらく悲劇に近い展開でプレーヤーの度肝を抜くのではないかと思います。

私の今の時点での予想では、西部戦線で父親を失ったばかりの英雄リースは、それまで表に現さなかった心の傷や痛みと、その苛烈な正義感から、旧権力者を強引に退け、最後には国王を暗殺してしまう、といった展開もありうるのではないかと思っています。

それでもベルウィックサーガで起こる悲劇には、ひとつの救いのようなものがあります。それはシナリオに対して、プレーヤーが大きな選択権を持っていないということです。シナリオ的にどんな未来がプレーヤーを待っていようとも、シナリオ的な選択権がほとんどないプレーヤーには、結果に対して負うべき責任が少なくなっているのです。

実際に軍を指揮して戦ったのはプレーヤーである自分ですが、軍の勝利はゲーム的な制限であって、自分にはそれ以外の選択肢はなかったのです。メインのシナリオでは、何が起こってもそれはシナリオ側の責任であって、プレーヤーのせいではありません。

各プレーヤーの感情移入度合いによっても変わってくるでしょうが、ベルウィックは、基本的にはシナリオに対しては、主役というよりも、半観客としての立場で見守ることができるようになっているのです。2017/2/5

リースの血筋

サフィアの巫女としての覚醒をきっかけに、巫女様がリースに預けられたことには理由があるらしいことが判明しました。ルボウ司祭もまだ話せないということなので、結局、リースが王家の血を引いていたという流れになりそうな雰囲気です。黒リースルートは正統ルートとなりそうです。プレーヤーを裏切るような波乱は起きなさそうな雰囲気になってきました。2017/2/23

ついに完結、英雄決戦の行方は

まず、黒リース問題については、何事もなく円満なラストを迎えました。リースが手を汚すことはなく、また王家の血を引いていた訳でもなく、順当な終わり方をします。必要以上にシリアスな展開にならかった点は好感が持てます。

11章あたりでしょうが、戦いの途中で現れた竜騎士ゼフロスですが、あまりの強さに、その後はどう対処するか少し悩んでいた部分もありました。個人的には、黒ラインハルトことゼフロスは、今作で最も好感度の高いキャラだったので、戦いたくはないと思っていましたが、願いが叶い最後まで戦わずにすみました。これもなかなかよい展開となっていました。

実は最後にどうにもならなくなったときのために温存していたオルウェンのスリープ(※)という秘密兵器があたったのですが、結局、使わずにクリアできました。(※注意:実際は仕様上ジャヌーラ以外の暗黒魔法は使えません)

作中のイベントで見かけるいろいろな恋模様ですが、そのキャラの活躍度合いでうまくいようになっているようでした。リースのお相手はどうなるのか、水面下での戦いが繰り広げられていたことをほのめかすイベントがありますが、これも最後に番狂わせが起こります。活躍したキャラによって変わってくるかもしれませんが、ティアンナの展開は予想外でした。私も恋にうとい人間のようなので、少しはロザリーを見習ったりしたほうがよいのかもしれません。2017/3/9, 2017/3/11

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