HKS魚拓

あなたは宇宙からスパイされている

あなたは宇宙からスパイされている
http://web.archive.org/web/20060213102933/http://www.idaten.to/meikyu/a070.html(魚拓)
 情報機関関係者は、あなたが世界中のどこにいようとも、最新式のスパイ衛星を使うことによって、あなたの話していることが聞き取れるし、あなたを見張る技術を持っているのである。


 合衆国の情報機関は、海外にある合衆国の施設を爆破しようという企てを、過去6ヶ月の間に少なくとも7件は未然に防いだと言っている。それらの中には、6ヶ所の大使館と、サウジアラビアのプリンス・サルタン空軍基地が含まれている。
 USAトゥデーは、合衆国政府がこれらの企ての一部を未然に防げたのは、高度な衛星技術を使って、あやしいと思われるテロリスト、オサマ・ビン・ラディンの電話の内容を聞いたからであると報道した。

 そう遠くない昔のこと、情報諸機関は、スパイ要員や偵察機、大きくて不便な人工衛星などを使いながら、ソビエト連邦、共産主義国、反体制活動家のスパイ活動を行っていたのである。
 しかし、専門家の話によれば、今日の技術は、地球から何千マイルも離れて軌道を描いている強力な最新式人工星を使うことによって、世界中の軍事基地のデスクにいながらにして、目標を偵察することを可能にしたのである。

 この10年、科学者は、衛星をより軽く、より強力にするためにたゆまずに働いてきた。これらの技術の躍進によって、人工衛星は次々と宇宙へ打ち上げられ、その数は爆発的に増えている。
 合衆国宇宙軍は、宇宙に打ち上げられる物体を監視している政府機関だが、その宇宙軍によれば、現在では、約22,300マイル離れた軌道上に2548個の人工衛星が回っているそうである。


●宇宙での話

 『ワールドペーパー』1998年9/10月号によれば、今日、宇宙に浮かんでいる衛星の大部分は、世界中と交信している遠距離電信衛星にすぎないということである。
 しかし、これらの通信衛星の中には、遥かに進んだ機能を持ったものがある。

 アメリカ科学者連盟(FAS)によれば、現在軌道を回っているすごい衛星の一つに、ヒューズ・エレクトロニクス社が空軍のために設計した、“マーキュリー(最新式ボルテックス)”と呼ばれている衛星がある。
 マーキュリーは、国家安全保障局が“秘密情報(SIGINT)”と呼ばれるものを集めるために使われている。“秘密情報”というのは、コンピューター、レーダーなどの様々な形態で送られている情報を集めたものである。

「マーキュリー秘密情報収集衛星は、ラジオなどの放送通信システムと、レーダーなどの電子工学システムが発信したものを傍受するために設計された。」
と、FASは言っている。
「このような電波の傍受によって、携帯ラジオのように弱い電波しか出さないものでも、そのタイプと位置についての情報を得ることができるのである。」

 マーキュリー衛星は、直径がおよそ100メートルもある大きなアンテナを持つ、“ボルテックス”と呼ばれる古いシステムの設計に改良を加えたものである。マーキュリーには、このように大きな受信装置がついているので、ミサイル試射によって出る信号波でさえも傍受できるのである。

 マーキュリー衛星は極めて高い上空に位置し、静止軌道(24時間)と、楕円軌道(12時間)に乗っている。FASの話では、空軍は、これらの衛星の高度を上げることによって、より効果的な通信傍受ができることを発見したということである。

 FASは、マーキュリーと同じような秘密情報の収集機能を持っているが、マーキュリーほど進歩はしてない他の衛星システムについても公表している。その一例に、“トランペット”というコードネームの衛星がある。

 また、FASは、「スパイ衛星に使われている技術を応用することによって、多くの商業用衛星が誕生した」と述べている。ヒューズ・エレクトロニクス社は、このような衛星を大量に製造している。

 ペンタゴンが言うには、ヒューズ社は、中国製のロケットを使って衛星を打ち上げる契約を中国軍と行った。その時にヒューズ社は、この技術を中国に提供したということである。ペンタゴンは、ヒューズ社は国家の安全を危険に曝したということで、同社を告発している。
 最近、ホワイトハウスは、ヒューズ社が中国に遠距離通信衛星を売ろうとしているのを妨害した。FASによれば、その衛星は、アメリカ軍が使っている監視衛星に似ているということである。
 クリントン政権が中国に技術を売り渡したとされる論争中の問題や、中国がクリントン再選の選挙運動に貢献したという話は、繰り返し報道されてきた。


●高等画像技術

 防衛関係の契約企業は、世界中のどこでも解像度の高い画像が撮れ、情報機関関係者が仕事をしている施設に、それらの画像をダウンロードすることのできる衛星を製造し続けている。

 専門家によれば、これらの人工衛星の能力の多くは誇張されすぎている。例えば、雲がある時には画像が撮りづらいなど、人工衛星の技術にはまだ様々な欠陥がある。
 しかし、これらの衛星は、2度の湾岸戦争では広範囲に利用され、軍隊がどのように移動するかを突き止めたり、目標を確認したり、隠れた建造物を発見するのに中心的な役割を果たしていた。

 FASは、ロッキードとTRWが設計・製作し、「KH12」と呼ばれている人工衛星に関する文書を作成している。
 KH12はハッブル宇宙望遠鏡に似ており、NASAによって打ち上げられた、宇宙の写真を撮る人工衛星である。しかし、KH12は地球上の各地に直接向けられている。

 FASによれば、その人工衛星には高解像度電子カメラがついており、「リアルタイムの映像を地上の基地に送ることができる」そうである。このカメラは夜でも対象を見ることができ、熱センサーもあるので、地下基地の位置を突き止めるのに便利である。

 KH12は、従来の型を改良することによって、著しい進歩を遂げてきた。KH12には、精製した“賢い推進剤”が使われているので、人工衛星の寿命は長くなり、地球の周りを運行しやすくなっている。
 さらに、KH12は、視界を遮るような天気の悪い位置を避けることができる。また、主な目標物の上空を移動して、戦場を監視したり、偵察写真を撮ったりすることも可能である。

 ロッキード・マーチンは、電子カメラを使った現在の衛星ではできないことを可能にする人工衛星を設計している。
 この人工衛星で使われている技術は、科学者に“ラクロス”と呼ばれているが、この“ラクロス”は、一種の論争の的となっている。
 この衛星は、比較的解像度の高い画像を得るために、高度なレーダー画像技術と“合成開口レーダー(SAR)”と呼ばれる技術を使っている。

 ニューメキシコ州のロスアラモスにあるサンディア国立研究所は、このタイプのレーダー画像技術の開発が最も進んでいる研究所の一つである。
 このサンディア国立研究所によれば、SARは複雑であり、非常に大きな受信器を模倣する、あるいは“合成”するために、動く人工衛星を使っているということである。遙か彼方からの正確な画像は、この技術によって処理され、比較的高い解像度の写真ができあがるのである。


●限りある能力

 FASは、「この技術の最も重要な点は、視界が悪くて雲が覆っていても見通すことができるので、写真を撮る能力が制約されていないことだ」と述べている。
 1988年12月2日、スペースシャトルによって、最初のラクロス人工衛星が打ち上げられた。その時以来、タイタン4ミサイルに搭載されたラクロス人工衛星が、90年代を通して、いくつか宇宙へと運ばれていった。

 空軍には、近い将来SARを利用する計画がある。
 1997年、新しいプログラムが空軍の国防高等研究計画局(DARPA)によって始められた。そのプログラムは、ひとそろいの人工衛星を軌道に乗せ、どんな天候の時でも、SARが継続して地上をカバーすることができるようになっている。

 この計画の目的は、作戦を立てる側が、この人工衛星の一群を通して、戦場からダイレクトに便利に送られてくる情報に対して、アクセスし、ダウンロードできるようにするというものだった。
 “スターライト”と呼ばれるこのプログラムは、まだ計画の段階である。FASによれば、政府は2003年までには22個の人工衛星を配備する計画を立てている。

 プライバシーを守る団体の言うには、これらの衛星は、顔の認識システムのような徹底した監視技術と組み合わせて使われ、一般大衆が全く気づいてさえいないような、新しい次元のプライベートな情報を新たに提供するということである(顔認識システムを使えば、特定の人物を探し出せるようなプログラムを、コンピューターに組み込むことができるのである)。

 政府がこのような技術を使うことを批判している人たちは、「今や政府は、アメリカ人が世界のどこに行こうとも、盗み聞きをしたり、見張ったりすることができる」と言っている。ちょうど彼らがオサマ・ビン・ラディンにしたように。
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