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アドバイスは答えより気付きを与えたほうが伝わりやすい

There-are-many-people-who-listen-only-to-the-oneself-superior-person-advice, 2020.7.22, 2022.6.21, 評価(C)
人間には知っていることを誰かに教えてあげたいという欲求があります。

アドバイスは親切心からされることが多いですが、聞いた人がそれだけで考え方や行動を変えることはまずないです。

人はそれが正しいと実感するまではその考えを自分の判断や行動基準としては受け入れないからです。

答えを教えるよりその実感につながる気付きを与えたほうが結果的に相手に伝わりやすくなります。

自分で気付いて学んだものはその人の知識経験となって身に着きます。

例外としては、初めてやることでそれが自分の知っている最良の情報となるようなアドバイスならそれしか判断基準がないので結果的に従うことになります。

この手の初めはこうすべきというアドバイスは有用といえます。

ですが、それ以外ではネットでもリアルでもいろいろ教えている人がいますが、あんまり相手にされてないことが多いです。

情報より先に人をみて判断されていることが多いからです。

相手からすごく認められていて先生のように思われていれば答えを教えても聞いてくれるでしょう。

普通はそういうことは少ないので信頼をえつつ気付きを与えていくのがアドバイスを聞いてもらうコツです。 2020.7.22 | 2022.6.21

(旧タイトル:できる人のアドバイスしか聞かない アドバイスや批判する前に相手から力を認められているか考えよう)

更新履歴 2022.06.21 リード更新
2022.06.06 人は変えられない 追加
2022.06.06 人はイメージで信じるか決めている 追加
2022.06.06 アドバイスだけでは人は変わらない 追加

目次

  1. 気付きの与え方
  2. アドバイスだけでは人は変わらない
  3. 人は変えられない
  4. 人はイメージで信じるか決めている
  5. 人がアドバイスを判断する仕組み
  6. 自分がアドバイスを公平に判断する方法
  7. 人にアドバイスをちゃんと聞いてもらうには
  8. 相手のことばかり気にしていては何もいえなくなる
  9. それでもアドバイスがしたいときは
  10. 関連・参考

気付きの与え方

気付くとは意識している状態のことなので意識させることが気付きを与えることになります。

注目させてあげてよりよい判断に導いてあげるのが気付きを与えるということです。

人が何かに気付くと「ひらめいた」状態になって高揚感や快感が生まれそれがさらなる好奇心や知識欲を呼びます。

答えを教えたほうが早いのですが、それだと伝わらないのでひたすらヒントを出し続けころで気付きを与えます。

答えを言わずに誘導していくので心理誘導のような要素もあります。

悪用せずによい方向に変わっていってもらえるように相手の理解を深めるヒントを出していくといいです。

相手が答えを求めて相談してきたときは例外です。答えをそのまま教えても聞いてもらいやすい常態になっているからです。

それでも素直に人の話を聞く人は少ないので答えよりヒントを出していくほうがおすすめです。

また例外になりますが世の中に3割くらいいる理性的な人達であれば立場や言い方をあまり気にせず答えを教えても理解できることがあります。

ただし答えが正しいと分かっても素直に喜ぶ反応をとるとは限りませんのでやはりヒント戦術がおすすめです。

もう何でそこまで面倒なことをしてアドバイスを理解してもらわないといけないのか分からないような気もしますが、人のアドバイスを理解してもらうのはそれくらい難しいということです。 2022.6.21

アドバイスだけでは人は変わらない

どんなにいいアドバイスでも世界の真理でも他人から聞いただけでは聞き流されます。

人がそれに従うのは自分や他人の失敗や成功を知ってその話が正しい思ったときだけです。

ですが、アドバイスする前に相手からの信頼があれば「この人の言うことは正しいはずだ」と信じてもらえます。

そうするとアドバイスを聞いてくれる可能性が高まります。

このあたりがアドバイスの限界なので人を変えたいなら先に信頼関係を作っておいたほうが変えやすくなります。

記憶に残すという意味てでは繰り返し伝えることも効果的ですが、信頼関係がないと大きなお世話になりがちです。

これがアドバイスの前提条件です。 2022.6.6

人は変えられない

残念ですが、他人は変えられないことがほとんどです。人を変えるのはかなりむずかしいです。

なぜかというと人は自分の考えや行動は自分で決めるものだからです。

それを変えるのは自分の人生経験で気付きやひらめきがあったときだけです。

人が変わるのは自分で気付いたときだけだということです。

読書も体験であって気付きをえられることがありますが、やはり一番大きいのは失敗です。

失敗から学ぶのが一番効率がいいとも言えるので、自分が成長できる失敗をうまくコントロールするというのも賢いやり方かもしれません。

ですから、アドバイスというは他人を変えるためというより、気付きやひらめきを促すために情報を教えておいてあげるくらいの気持ちですべきものです。

求められてもいないアドバイスで他人を変えようなどというのは至難の業です。 2022.6.6

人はイメージで信じるか決めている

他人から話をされれば耳には入る訳ですが、信じるかどうかは何となく相手のイメージで決めていることが多いです。

理性的な人であってもだいたいイメージで決めることが多いです。

科学や学問、仕事など専門的なことであれば論理的に真偽を判断しやすいのですが、それ以外の自分があまり詳しくないことや興味のないことは何となく信じるかどうか決めてしまいます。

信じてもらうにはまずは自分のイメージが大切だということです。

ですから、人に説明するときにテレビで言ってたとか、学者が言ってたとか、アメリカではこうだとかいう人が多いのです。

権威性といいますが社会的な評価や権限/責任の強さ、先進性などのイメージが信用の裏付けに利用されています。

これもアドバイスの前提条件になります。 2022.6.6

人がアドバイスを判断する仕組み

ページタイトル下の説明はかなりマイルドになっていますが中身は「そのアドバイスは無駄」という感じでかなり厳しいものになっています。

この被害改善責任論もアドバイスのようなものですから場合によっては存在意義を自ら否定するような恐れもあります。

どうしてそうなっているかとうと、人には情報に対する信用基準あって、だいたいはその人物の実績や肩書き、自分との関係に依存しているという暗黙の心理的なルールがあるからです。

その分野で自分よりも優れた人、あるいは十分な実力を持っているであろう人として認められていないの話でないといい情報だとか正しい情報だとか考えないように人の心はできているのです。

これは多くの人が生まれながらにもつある種の普遍的な心理作用だろうと思います。

多くの人は人はどうしても自分自身という枠の中でしか考えることができないので、まずは自分との関係性を考えてからそれぞれの話の中身を判断してしまうのです。

人はアドバイスその他の情報について、まずは発信源となる人物や組織などを重視して判断してしまう生き物だということです。 2020.7.22


自分がアドバイスを公平に判断する方法

人には受け取る情報を無意識のうちに偏向してしまうバイアスを持っているというのを人がアドバイスを判断する仕組みで説明しました。

人を見ればその情報の良し悪しがだいたい判断できるというのは事実ですが、それはあくまでおおまかな判断であって細かい正確な判断にはなりません。

立派な人はあまり間違ったことは言わないでしょうし、いい人はあまり悪いことを言うことはないでしょう。

悪い人は悪いことを言うでしょうし、詐欺師はもっと積極的に人をだまそうとするでしょう。

そうであってもいい人も間違ったことやずいることを言うこともあるでしょうし、詐欺師が言ったからといって真実や物理法則などが変わってしまうということはありません。

細かく考えると情報の正しさはその人の人格や実績には依存しません。

人物と情報は厳密には別物なので正確に物事を理解し考えるには別物であると理解しておくべきです。

人は人物で情報を判断してしまうというバイアスを持っているのが原因ですが、このバイアスはがんばれば修正することができます。

このバイアスは主に人が自分との関係性の中で物事をとらえてしまうことと、おおまかな判断をしていることから形作られていると思います。

自分中心の感覚は哲学などの抽象的な考え方を学べばその枠組みを離れることができるようになります。

自分とは無関係な抽象的な理論として情報を理解し判断できるようになればバイアスにとらわれないより正確な情報判断ができるようになります。

おおまかな判断をしてしまうというのはこれも人にとっての普遍的な認識作用なのですべてなくしてしまう必要はありません。

時間や知的労力を省けるのでおおまかにとらえることも便利な判断方法です。

便利というより人の基本的な判断はだいたいおおまかなものだろうと思います。

おおまかにとらえること自体は別に悪いことではないのですが、大事なことはなるべく細かく考えたほうがよりよい判断につながります。

よくないのは善悪、正誤などの二者択一の二元論的な考え方です。

片方を否定すればもう片方が肯定されるので詐欺師が人をだますときによく悪用されています。

「結局、やるのかやらないのか」といった二択で物事を考える癖がついている人は少し危ないです。

大事なことはその大事さにあわせて細かく公平にとらえられるようにしておいたほうがいいです。

そうしないといくら考えてもあいまいな答えにしかたどりつけず、あまりいい結果にはつながりません。

そういったことのさじ加減のうまさが人の頭の良さということなのだろうと思います。

ですが、そのさじ加減は生まれつき変わらないものではないのであきらめずによりよい判断や行動ができるように頭を使っていったほうがいいです。 2020.7.22


人にアドバイスをちゃんと聞いてもらうには

アドバイスする分野について相手から尊敬されたり実績を認められているのが理想です。

ですがその状態であればアドバイスをすでにちゃんと聞いているはずですのでそうでない場合について考えます。

まず人は自分のことは自分の経験を判断基準として重視するのですが、自分以外の人については他の人からの評価を基準にする傾向があります。

相手に認めてもらうには第三者から高い評価を受けていることを相手に知ってもらうと楽です。

スポーツなどで自分の実力を相手にみせられればアドバイスを聞いてもらいやすくなります。

理論などを自分で直接説得したり相手を論破して考えを変えさせるのは難しいです。

相手から認められていない状態だと理論自体もアドバイスする人の理論として判断されるので評価が下がってしまいます。

これをくつがえすには第三者が認めている証拠や実績などを示すといいです。

相手から認められていないという状況は自分の話をあまり信用されていないということになります。

あくまで自分からの情報ではなく別の人からの情報でもあるという点から説得力を高めることができます。

相手から信頼がえられていない状態ではあくまで自分の考えではないという点をアピールしたほうが話がスムーズに進みます。

アドバイスを聞いてもらう簡単な方法はそのアドバイスの正しさを担保できるような誰かに協力してもらうことです。

説得のノウハウと同じですが第三者的な人に自分の話にうなずくなど評価するリアクションをとってもらうと信用されやすくなります。

私の知り合いの学校の先生が、部活動で指導するときにたまにできる人やちょっとした有名人を呼んで自分が普段教えていることと同じことを言ってもらうと生徒たちが言うことを聞くようになると言っていたのを思い出しました。

このパターンだと生徒たちが尊敬する人をアンケートしてその人に来てもらえればより効果が高まりそうです。

ノウハウを突き詰めていくと、アドバイスの正しさよりも説得方法が重視されてしまい、正しさよりもうまく言いくるめる方法論になってきてしまうのでこのへんにしておきます。

どんなにいい内容であったとしてもアドバイスは、相手からみればバイアスのかかったおおまかな判断をされていてそもそも伝わりにくい状態になってしまうことがあるということです。

その伝わりにくい状態が相手から自分が認められていない状態です。

ガンジーが正しいことが理解されるには時間がかかると言っていますが、それくらい理論や思想で人を動かすのは難しいということのようです。

私も若い頃は正しいことを説明すれば誰でも理解できるものだと思っていたのですが現実は全然違いました。

理屈で人の考えを変えるのはかなり難しいので相手を選んで自分を認めている人や似たような経験をしてきた人、一部の理性的な人などからアドバイスをしていくのがいいだろうと思います。

アドバイスの難しさから逆に考えると、アドバイスをすることは限られた条件がそろったときだけ成功する実験のようなものなのかもしれません。

それでもいい情報があるから伝えたいというなら、実際に自分でそのよさが伝わるような行動をしてその姿をみせるか、他に説得力のある証拠を探すのがいいのではないかと思います。

厳しい話になってしまいましたが、自分からアドバイスを求めている人がいるとすればこの限りではないのでどんどん教えてあげてください。

今回のような仕組みがあることもあわせて教えてあげればより説得力が高まるだろうと思います。 2020.7.22


相手のことばかり気にしていては何もいえなくなる

人間関係を重視すると誰かに意見するのはそもそも難しいです。

意見を求められたときだけ相手が納得できそうな形で伝えるのがやっとでしょうか。

自分ならこうするといったくらいの言い方が無難だろうと思います。

それでは何もいわないほうがいいのかというとそんなことはないと思います。

単なる情報のひとつとしてでも伝えておけばいつか相手の役に立つときがくるかもしれません。

自分の持っている情報を相手に伝えるのではなく、相手が理解できるように説明すると考えたほうがいいと思います。

自分がいいたいことではなく相手の役に立つことを伝えるイメージです。

本当は誰かに何かを伝えるということは親切なことであって伝える相手に迷惑がられるべきことではないのですが、相手はどうしても文句を言われているように感じやすいので人のコミュニケーションは面倒なものになっています。

だからといってみんなが何も伝えないでいるとわがままでプライドが高くやたらと傷つきやすい人が増えていってしまいます。

そうなっては余計に何もいえなくなってしまいます。

相手が他人であればそんなに困らないのですが、家族や親族、友人知人、職場などの仲間が相手となるとそうもいっていられません。

最低限のことはうまく伝えられる工夫をしておいたほうがいいです。

昔の大工など職人の見習いはあまり教えられることなく先輩の技を見るだけでまねていたそうです。

教えてもいうことはきかないしどうせあまり身につかないならあえて教えないという手もあるかもしれません。

見習い側の積極性も刺激され上昇意識の高い職人が生まれそうです。

とはいえ、さすがに何も教えないのは効率が悪いですから、「見て習え」くらいのことは教えたほうがいいです。

何かを「何をすればいいかわからない」「やり方がわからない」と言う人がいますが、そういう人には何をすべきかとか、やり方の調べ方を考えさせればいいと思います。

人に何かを教えるとしたら最初の大目的だけ教えて後は自分で探させるくらいがちょうどいいのかもしれません。

後は本人の意識の問題なのでやる気のある人はどこまで高みを目指し、そうでない人は時間と労力の浪費を続けることだろうと思います。

そうしていくうちにやる気のある人もない人も自分が納得ができる状態に近づいていくはずです。

他人の人生はその人のものですから「やるからには上を目指せ」くらいのことを言っておけばまずまずいいアドバイスになるのではないかと思います。

さらに「嫌ならやめろ」とまで言ってしまうと言いすぎのような気がします。

現状維持が優先で上昇意識の弱い人もけっこういます。 2020.7.23


それでもアドバイスがしたいときは

繰り返しになりますが、よほど信頼されているか尊敬でもされていないかぎり誰かへのアドバイスは相手からは文句を言われているくらいにしか思われません。

せっかくのアドバイスもほぼ受け入れてもらえないのが現実です。

受け入れてもらえる前提となる信頼や尊敬はすぐにはえられません。

今アドバイスしたいという気持ちはグッとこらえるしかないのでしょうか。

それが一番無難かもしれませんが、あえてアドバイスするならアドバイスが批判であることをよく理解して、自分が相手を批判するのでななく、本人に自分で自分を批判してもらえるような言葉をかけてみてはどうでしょうか。

相手には100点満点ではなく70点くらいの少し足りない情報を伝えておくに留めます。

そうしておいてその先はそれをヒントにして本人に自己批判してもらおうという作戦です。

これは心理的な自己批判誘導とも言えます。

話好きな人なら自然とやっている人もいるかもしれません。

少し遠回りですがこれなら人間関係をそのままに相手が自力で気付きをえられる可能性があります。

相手がヒントの意味がよく分からずにこちらに聞きなおしてきたらアドバイスのチャンスです。

これが成功すると相手は自力で答えにたどり着いたと感じやすいようです。

アドバイスしたのはこちらなのに別に感謝されなかったりもします。

ドラマだったら感謝されてもいいところですが現実は必ずしもそうはならないようです。

とはいえ結果的にアドバイスの目的は達成されたはずなのでそれはそれでいいのではないかと思います。

それにしても人間関係は少し面倒くさいですね。 2020.7.25

参考

マルチ商法が広がり続ける仕組み【ABCで人生楽勝】 2020/7/15
第三者を積極的に利用する例(※悪用厳禁) 2020.7.22


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