「全能なる神よ！どうかその正体を教えて下さい」
(「Wayback Machine(インターネットアーカイブ)」に残っていた「Mind Control / Real Modern Horror」というサイトの記事を転載。)

https://web.archive.org/web/20080630161501/http://www.aa.alpha-net.ne.jp/stmore/Good_Lord_What_in_heavens_name_is_that.htm




ガーディアン紙より、アメリカ空軍が計画している空中に音声と映像を投射する装置に関する記事



デイビッド・ハムリング

ロンドン
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　私達は1991年のバグダッドにいる。そこでは何か奇妙なことが起きている。ゆらめく巨大な顔が空に現れた時、沈黙がその都市を覆う。そして各人がアラーの声を聞いた時、兵士と市民達はひれ伏す。神は邪悪で危険なサダム・フセイン政権を打倒せよと命じる。それから数分以内に警備員達は逃げ出し、怒った暴徒達が宮殿を襲撃する...

　この架空のシナリオは湾岸紛争の中で無血の勝利を得るためにアメリカ空軍（USAF）の計画監督者によって提出されたものである。造物主の口に言葉を語らせるというアイデアは特に新しいものではない。ルシアンによれば２世紀頃に神アエスクラピウスの像が信奉者達に向って語りかけているかのように見せる演出－実際には像の陰に隠れた僧侶がチューブに向って言葉を発している－が行われている。

　バグダッド計画には巨大なホログラムをイラクに全土にわたって投射するプランが含まれていた。この種の投影を行うには一枚の鏡が必要とされる。この計画には数キロメートルの鏡が必要とされた。現在までに30メートルの幅を持つ鏡が開発されている。けれどもこの大きさでは地上からでも見えるイメージを投影する為にはあまりに小さすぎる。

　空中に鏡を設置するという別の方法もある。暖かい空気が冷たい空気よりも上に存在するときには大気の密度の違いが光線を曲げる。十分な高度から投影されれば幻影は完全な形の映像を空に映し出すことができる。人工的な幻影は理論上、ラジオ波またはマイクロ波による大気の加熱によって作り出される。

　軍は明らかにホログラムのこういった用途を信じているかように見える。USAFのシンク・タンクは人を罠にかけるためのホログラフィック・イメージングからスター・トレック風のディストーション・フィールド・プロジェクターにまで及ぶ装置を考案してきた。こういった兵器は戦略的な偽装作戦の中で有効であり、特に単純な敵に対しては実用性が高いと言われている。そういう幻影は特別な航空機によって空輸されるホログラム・プロジェクターによって生み出される。

　多分、そういった装置の中で最も最近のものはコマンド・ソロである。それは空中線とアンテナで飾られ、機密にされているエレクトロニクスを運ぶ新しいヘラクレスである。それはラジオやＴＶのスペクトルを含む幅の広い電磁気スペクトルを通して送信する。

　造物主の顔には声が必要である。マイクロ波を用いた新しい技術はその声を作り出すことができるかもしれない。強力なマイクロ波パルスが人体に放射されると、わずかな体温の変化が生じる。それは細胞組織を膨張させ、音波をつくりだす。USAF科学顧問会議の報告書によれば：
「パルス波を使用すれば可聴域にある5から15KHzの音響フィールドをつくることができる。それは敵に『話しかける』ことを可能にし、敵はそれによって大きな妨害を被ることになるだろう」

　マイクロ波送信に関する実際上の困難はたくさんある。受信された音声はその聞き手の頭蓋骨の大きさと形、それから発信源の方向に影響される。マイクロ波は固い物体にあたって反射されるか、減衰させられるので神の声は受信状態の良くない雨の日のラジオ放送のようになるかもしれない。街灯の下を通りかかった時に神の声が聞こえてきたとしたらあなたにはそれが信じられる？

　その計画にはそれ以外の問題もあった。イスラム教では偶像崇拝が禁止されている。誰も知らない神の姿をどうやって投影することができるだろうか？

　バグダッド市民は迷信深い野蛮人ではない。彼らは蓄音機から出る話し手の見えない声に逃げ出したりはしない。それらはコンピューターによって作り出されたイメージ、派手な特殊効果としてすでに公表されている。もし神の像が天空に現れたら誰かがそれが鏡によって作り出されたものであることを悟ることになるだろう。



ガーディアン